ホンダCR110精密イラスト 初めて自分のシゴトが「世に出た」思い出の一枚
2018/02/04
バイクのイラストを描き始めた学生時代
私がバイクのイラストを描くきっかけになったのは、モーターサイクルショーでバイクの精密なイラストを見たことがきっかけでした。
当時、美術大学の絵画科を専攻していた私は、こういうジャンルの絵があるんだと衝撃を受け、自分や友人のバイクを描くようになりました。
その頃、免許を取ってバイクライフを謳歌していた私にとってバイクは身近なモチーフであり、自然とそうなっていったのだと思います。
何枚かのバイクイラストを描いていましたが、初めは写真を元にして、キャンバスに鉛筆で線を起こしてからアクリル絵の具で着色するという方法で描いていました。
CR110のパッケージイラストを手掛けることになったワケ
そんな時に、ご縁があって模型メーカーであるEBBROの新製品「ホンダCR110」のパッケージを描かせていただける事になりました。
まだ学生であった私ですが、実際の製品パッケージの絵を描くことができるとは思ってもいなかったため、とても緊張したことを覚えています。
今までは、自分で満足していればよかったのですが、「世に出るモノ」という責任感を感じながら、丁寧に作業をした作品です。
ちなみに、いまではこの商品は完売となり、新品で手に入れることができません。
>>EBBRO 「HONDA CR110 CUB RACING 1962 1/10スケール」
ホンダCR110カブレーシングというバイクとは
ホンダCR110カブレーシングというバイクをご存じでしょうか?
カブといえば出前や郵便局のカブを思い浮かべる方も多いかと思いますが、CR110は、1962年にホンダが世界選手権で戦うために開発した純粋なレーサーマシンです。
排気量こそ現在の原付と同じ50ccですが、最高速度は100km/h以上。精密機械とも言われ、「ミッキーマウス」と呼ばれたDOHCエンジンを搭載し、デビュー戦で優勝するなど当時のホンダの技術力を凝縮させた1台です。
そんなバイクの魅力をあますことなくイラストで表現します。
次回から、このCR110の制作過程に関して紹介していきたいと思います。
ホンダCR110を描く
イラストを描くにあたってまずすることは、カタログやネットから写真を集めたり、実車を見て撮影したりと資料をできるだけ集めることです。
実車を取材するのが理想的ですが、今回のバイクは50年以上も前のもの。ましてやレーシングマシンなのでそうそうお目にかかることができません。
ところがMOTOGPも行われるサーキットで有名なツインリンクもてぎ。この中にあるホンダコレクションホールで幸運にも実車を取材することができました。
ホンダコレクションホールにはホンダの歴代の2輪、4輪の車両が展示、保存されていて、そんな中CR110も展示車両の一つでした。
<<ホンダコレクションホール
中には興味深い車両がズラリと展示されています。
まともに全部見る1日過ごせてしまいそうな量です。
つい全部見てしまいたくなる気持ちをぐっとこらえて今回はCR110に集中します。
イラスト資料の撮影
今回のイラストは真横からのものでしたので、真横をメインに撮影しました。
それと重要なのは別の角度の写真をたくさん撮ることです。
どうしても一方向からだと構造が分かりづらい部分が出てきてしまいます。
撮影中にここは撮っておかなくていいだろうと思っていても、いざイラストを描いているうちに必要になることが多々あるのでなるべくいろいろ撮るようにしています。
撮影と同時に写真では分かりづらい質感も確認します。
特に今回は銀色の中でも質感が違う部分が多いので、そのあたりの質感表現がカギになっていました。
一通り撮影したら取材は終了。
ベースになる写真を選び、補正をしていよいよ描き始めます。
次回は手描きの工程をご紹介したいと思います。